REPORT
2025/05/23

再読と活用から生まれる現代における宿場町の価値とは?第1回「Local Research Lab」開催レポート

地域資源の再読から、持続可能な地域経済のヒントを探る「Local Research Lab」。

 

「Local Research Lab」の舞台となるのは、中山道の宿場町を有する岐阜県中津川市。1年間リサーチを行い、セミナーや体験型イベントを通して、現代における宿場町の価値を言語化していくことを目指しています。

 

去る3月28日(金)、記念すべき第1回となる「Local Research Lab」が開催されました。「丸山木材ホールディングス株式会社」代表取締役執行役員社長の丸山大知さん、「みのまちや株式会社」代表取締役/「株式会社つぎと」取締役副社長の岡田岳史さんをゲストに迎え、町の振興へとつながる魅力ある資源や文化の普及・浸透への取り組みから、活動のなかにある困難やその打開策まで、熱いトークセッションが繰り広げられました。

INDEX

  • 歴史と文化が残る中津川町の一角で
  • 「木」って本当にすごいんです
  • 「古民家」は文化の最終防衛ライン
  • 伝わらない、浸透できない。それなら良さを知ってもらうことから
  • 儲からなければ続けられない。ジレンマのなかでこそアイデアは生まれる
  • 差別化の答えは地域にある
  • 怒られながら、叱られながら。それでもやってみせるしかない
  • 「町を良くするために」というメッセージは、間違いがないように、正確に伝える


左から、モデレーターを務めた東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 係長/conomichiプロデューサーの吉澤克哉さん、「みのまちや株式会社」代表取締役/「株式会社つぎと」取締役副社長の岡田岳史さん、「丸山木材ホールディングス株式会社」代表取締役執行役員社長の丸山大知さん、KESIKIプロジェクトリード/Local Research Labリサーチディレクターの牛丸維人さん


歴史と文化が残る中津川町の一角で

吉澤:みなさま、こんばんは。本日モデレーターを務めさせていただきます、吉澤です。舞台となりますのは、宿場町を有する岐阜県中津川市です。会場は、中津川市にある宿場町で、築100年以上の蔵をリノベーションしてつくられたカフェ「RIVERBED COFFEE BREWER&ROASTERY」。記念すべき第1回、豪華ゲストの方にお集まりいただいています。さっそくですが、ゲストのご紹介に入っていきたいと思います。

 

丸山:「丸山木材ホールディングス株式会社」の丸山大知です。岐阜県中津川市で、地域の木材を振興させるための活動をしています。もともと中津川市はひのきの産地なのですが、安い輸入木材もあり、なかなか使ってもらえない。国産の木材を、中津川市のひのきをどうしたら使ってもらえるのか、いろいろな事業を通じて活動しています。

 

岡田:日本全国で、古民家の改修・再活用を行っている「株式会社つぎと」の岡田岳史です。最近はディベロッパーにとどまらず、運営もやる“古民家なんでもやさん”。中津川市のような歴史ある地域に入っては、未来にどうやって残していくか、地域の方たちと会話しながら進めています。

 

牛丸:KESIKIプロジェクトリード、Local Research Labリサーチディレクターの牛丸維人です。高校まで岐阜で過ごしていました。KESIKIという広くデザインをやっている会社で、人類学や社会学を活用したフィールドリサーチを行っています。中津川市においても、ポテンシャルや芽吹きはじめている魅力を見つけて、今後1年以上にわたりどんな魅力を発信していけるのか、地域のみなさんとともに進めていきたいと思っています。


第1回の会場は、築100年以上の蔵をリノベーションしてつくられたカフェ「RIVERBED COFFEE BREWER&ROASTERY」。中津川町にある宿場町にて


「木」って本当にすごいんです

吉澤:それではまずはインプットセッションということで、丸山さんと岡田さんそれぞれから、お話をいただきます。まずは丸山さんから、これまでや普段の活動をご紹介いただけますか?

 

丸山:生まれも育ちも中津川市で、高校を卒業するまでは中津川市に住んでいました。大学卒業後、住友林業株式会社に入社して輸入木材を担当、カナダのバンクーバーをメインに、ラトビアやエストニアなどから木材を調達する仕事をしていました。5年勤めて、家業である丸山木材工業株式会社(現丸山木材ホールディングス株式会社)に入りました。中津川市に戻って、ここは見渡す限り森や山に囲まれていて、木はたくさんあるのに、輸入木材に頼っていることに疑問を抱き、国産木材をつくることを始めました。

 

中津川市に生えるひのきは、20年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮にも使われていて、昔は強いブランド力を持つひのきでした。それで大正5年に丸山木材工業株式会社も立ち上がったわけですけど、安価な輸入木材によって追いやられ、衰退。実際、いざ国産の材木をつくったからといって、ちっとも売れないわけです。それでまずは、国産木材のよさをわかってもらうことが必要だと思って活動していたら、自ずと事業が広がっていって、まちづくりのようなこともやっていた、というのが現在地です。

 

丸山大知さんは、材木屋として国産木材の魅力を伝えるため、中津川市を拠点にさまざまな事業を展開しています

 

丸山:最初は、ひのきの葉や枝から抽出される上質な精油を配合したサステナブルな化粧品ブランド「 meet tree 」からスタートしました。森に行かなくても森林浴の気分を味わえるmeet treeの化粧品から、国産木材の良さが伝わったらいいなという思いからでした。

 

また、材木屋って、すごい量のおが粉(木材の粉)が出るんですね。木材板をつくっているのかおが粉をつくっているのかわからなくなるくらい(笑)。そんななか、「meet tree」を買っていただいている東京・銀座の焼肉屋さんとのご縁で、飛騨牛を育てている岐阜県内の牛舎でおが粉を活用してもらうようになりました。そして、そこの酪農家さんは、本当にこだわって飛騨牛を育てていらっしゃることを知りました。中津川市のみんなにも地元の美味しい飛騨牛を食べてもらいたいという思いで出資をし、中津川市に飛騨牛を扱う焼肉屋さんをつくってもらいました。

 

その焼肉屋さんのはす向かいに「 お宿Onn中津川 」というホテルがあるのですが、これも新しい事業として手がけたものです。宿場町なのにホテルが足りていないという話を聞いて、玄関で靴を脱いで、素足で木材を感じてもらう宿泊特化型のホテルをつくったんです。昨今は新しい技術が開発されて、これまでは鉄やコンクリートで火災や地震に耐えられる建物を、木材でもつくれるようになってきているんです。

 

さらに、最近は中津川市で不動産事業も展開しています。指定文化財である中津川村庄屋跡(曽我家)を購入したのですが、この建物がすごいんです。築300~350年ほどで、立派な松の木の梁で出来ている。立派な木材を不特定多数の方に見てほしい、そう思ってお譲りいただきました。当初は不動産を買っていくつもりはまったくなかったのですが、そうこうしているうちに少しずつ「この建物どうですか?」といったお声がけをいただくことも増えてきました。もちろん、自分で全部をやろうと思っていなくて、中津川市の人をはじめ、いろいろな人の力を借りながら展開していけたらなと思っています。

 

会場の様子

 

吉澤:木材をテーマにしながら、木材の可能性をいろいろなところに広げているのがすごく印象的ですね。

 

丸山:木材って本当にすごいんです。木材のチップが製紙会社を通して紙になり、バイオマス発電所を通して電気にもなり——。おが粉からしいたけをつくって、細くて捨ててしまうようなしいたけが生えたら次はカブトムシを育てようなんて話も出ていて…。今年の山の日には、そんなイベントも計画しています。


「古民家」は文化の最終防衛ライン

岡田:スクリーンに映し出している「古民家でつづく営みをつくる。」は、株式会社つぎとがビジョンとして掲げている言葉です。古い屋敷をホテルにしたり、かっこいいギャラリーにしたり、廃墟になってしまった物件をオフィスにしたり、という事業です。僕自身はホテルマンを経て、古民家活用市場に入りました。

 

株式会社つぎとのホームページには、「古民家はその土地の暮らしや文化を象徴するものです」と書いています。これまでたくさんの古民家が壊されてしまうのを見てきて、そこで生じる損失を考えるようになりました。それは、街並みが欠けるといった目に見えるものだけでなく、(木造建築に欠かせない)大工や左官や表具師などの技術、おばあちゃんのお味噌の味も含め、日本の文化までも一気に喪失するということです。古民家はその最終防衛ラインなのだと思うようになりました。

  

熱心に記録する参加者

 

実際の活動としては、中津川市のような歴史と文化のある町が、100年後も残っているといいなと思いながら、古民家再生と、地域文化を生かしたサービスを展開しています。

 

それでは、ある程度成果が出てきた岐阜県の美濃市を例に紹介させてもらいます。美濃は和紙がとても有名で、和紙とともに栄え、和紙が斜陽になってくるのとともに地盤沈下をしてしまった地域でした。そこに入って、まずは立派なお屋敷を4つ改修することから始めました。

 

株式会社つぎとが掲げるビジョン「古民家でつづく営みをつくる。」——岡田岳史さんは古民家を守ることは、未来に文化を残していくことにもつながると話します

 

その主な事業は、ホテル事業です。障子をふんだんに使い、そこから光が降り注ぐホテルで、僕以外は全員美濃市の方で企画や運営をしています。ただホテルは、滞在者が限定的で一時的でもありますから、人々が交流できる場所として、オフィス事業も展開しています。廃墟を修善してシェアオフィスにしました。天井が崩れ落ちて空がよく見えるなあ(笑)という状況だった建物がなおるのだから、日本建築や技術って本当にすごいなって実感しましたね。

 

また、オフィス事業は、地域を巻き込んだ「まちごとシェアオフィス」として展開しています。僕らがつくったオフィスは基地でしかなく、美濃市内の8つの喫茶店にご協力いただき、コーヒーを飲みながら仕事もできる場所にしています。そこに行けば必ずおばあちゃんに声をかけてもらえる、という温かな豊かさもあります。

 

当初、1棟目の古民家の改修・再利用を終えると10件の空き家の相談が来たんです。調査をしたら、空き家の4倍くらいの数の 埋没古民家 があることがわかり、それで借りたい人と貸したい人をマッチングさせるようなイベントも開催しました。3日間だけテナントを持てるという仕組みをつくると、ビール屋さんや本屋さんなど、とがった感性を持った方々が次々と出店してくれるようになりました。新規事業として、全国的に注目が集まっている保育園留学の、留学先としての事業も開始しています。全国30か所以上が受け入れをしていますが、おかげさまで美濃はとても人気の留学先になっています。

 

吉澤:岡田さん(の会社)が入ったあとの波及効果がすごくありますね。私も美濃に通っていますが、お店が増えていくのを目の当たりにしました。

 


伝わらない、浸透できない。それなら良さを知ってもらうことから

吉澤:それでは、トークセッションに移っていきます。地域資源の活用から始めていって、町がどう動いていったか、ご自身のマインドなどもご説明いただきながら、100年後の展望についてお話いただけたらと思います。さっそくですが、丸山さんのさまざまな木材活用のインスピレーションはどこから来たのですか?

 

丸山:まずあるのが、「国産木材を普及したい」ということ。またもうひとつわがグループでやっているのが、「木材の無限の可能性の追求」です。木は植えれば育ち、育っている間はCO²を吸収してくれて、50年くらい経てば家具にもなってくれます。建築材も、燃やせば焚火ができ、紙にも電気にも、菓子の折箱の材料にもなります。森は癒やしも与えてくれる、本当に素晴らしいものです。それなのに、誰も使ってくれないジレンマのようなものから(事業が)スタートしているわけです。木材の良さがベースにあって、それを活用するための挑戦をしているので、どうやったら木材を知ってもらえるかというのがベースにあり、それを材木屋の営業として行っている感じなんです。

 

事業展開の経緯や、そこにある思いを伝える丸山さん

 

吉澤:それはご自身のなかから出てきているのか、外との対話から出てきているのか、どちらなんですか?

 

丸山:中津川市は山が切り立っていて伐採コストがかかります。そもそも地政学的に輸入木材はもちろん、他の地域の国産木材にも価格競争でかなわないということを、身を持って実感しました。その分いい木がとれるのだけれど、それが伝わらない、浸透できない。本当は木材屋として真正面から行ければ良かったけれど、残念ながらそれでは競争に勝てない。何かを切り替える必要があり、違った切り口で攻めていくことにしたなかで生まれてきたものです。

 

吉澤:外部の環境も見ながら、攻め方を決めていっているのですね。

 

丸山:あとはですね、「あなたの町にもいい木材があるよ」という思いでもあるんです。もちろん中津川市の木材を使ってほしいですけれど、あなたの町にもある、ということも伝えたい。たとえ建築材に使えなくても、下駄や風呂(の用具)などにも使えるということを、事業を通じでたくさんの人に気づき、考えてほしいとも思っています。


儲からなければ続けられない。ジレンマのなかでこそアイデアは生まれる

岡田:岡田さんは古民家再生をどう考えていますか? 古民家だけなのか、町まで見ているのか。

 

岡田:結果的に、事業としてかかわって、残っているほとんどがホテル。みなさんが思いつくような、古民家レストラン、古民家サウナ、古民家ランドリーなど、全部やってみてはいるんです。でも失敗の繰り返しです。経済市場がまだないところで始めるということもあって、民間の会社が事業を続けていくには、やっぱり稼がないといけないんですね。ホテルは床面積上売り上げが良かった、というのが僕らにはまずありました。観光ならローカルでちゃんと続けていける。だからまずは、生存率を上げるためにもホテルが中心になっていきました。

 

ただ、ホテルは1泊6万円くらいのもので、たとえば町の学生さんがふらっと来れる場所ではないんですよね。そこを広げるという目的で始めたのがオフィスだったんです。当然、儲かっていないのだけれど(笑)、ホテルの売り上げという事業シナジーを使って、なんとかやっています。地域の財源を使っていることなので、ただ僕らが稼げばいいというわけではありませんから。地域の困りごとも一緒に解決していきたい、そのジレンマのなかで解決していく道を探して決めていく。生き延びるために、まずは事業のほうから形が決まっていくような感じです。


活動について、包み隠さずお話しくださいました


差別化の答えは地域にある

岡田:始めた頃は古民家というだけで珍しく集客ができたけれど、今はもう当たり前で、今度は差別化が必要になってきました。そして、その差別化は何かと言ったら、その地域に答えがあるものなんです。土地特有のものは他は真似できません。中津川市の木材も美濃の和紙も真似できるものではないですよね。それを用いていくんです。やっぱり、インスピレーション的な発想というよりも、自ずと答えが出てくるような感じなんですよね。

 

吉澤:とはいえ、まちごとオフィスや美濃のホテルでの和紙の使い方にはアイデアが詰められていると思うのですが、そこはどう見つけるんですか?

 

岡田:もちろん勉強もします。でも素人には変わりないから、やっぱり地域の方と手を組んでいくようになります。一方で、外から来たからこそ見つけられるものがあるんですね。美濃の子たちって、紙と石鹸を混ぜてつくった紙石鹸を持っていて、ポケットからさっと出してどこでもそれで手を洗うんです。彼らはそれが当たり前すぎて「日本中そうでしょ?」っていう顔をするのですが、そんなことないですよね。そういうことが、よく見ていくとあるんです。実際、この紙石鹸は銀座でも売られるようにもなりました。


怒られながら、叱られながら。それでもやってみせるしかない

吉澤:それでは続いて、活用による町のマインド変化について聞いていきたいと思います。活用していくにあたって、町のみなさんと同じ意見とは限らないと思います。始めるときにどういう反応があったのか、そこからどう変化していき、合意を得ることができたのかなど、お聞かせいただけますか。

 

丸山:逆に私が聞いてみたいところです。これまで美濃に何度か行ってその姿を見て、私なんてまだまだだと思いましたし、牛丸さんも俯瞰的にその地域を見られていると思うのですが、僕自身は「逆算する町づくり」をしてこなかったことにまさに今気がついて、反省しています。グランドデザインを描くという視点がなく、パッチワーク的にはなってしまったかなって。また、あとに続いてくれる広がり、エクスパンションみたいのが残念ながら中津川市において自分はまだ弱いかなと思っていて、それは美濃のときはどうやられたんですか?

 

率直な思いも伝え、トークセッションはより充実したものへ

 

岡田:僕は完全に黒子で、主役は他にあるようにしたいとは思って動いてきました。たとえばホテルでハウスキーピングをしている子であっても、文化を支えているという誇りを持ってやってもらっているのかなと感じるのですが、それは気持ちが伝播したからかもしれないです。

 

僕らは最初に青写真を描く会社なんですけど、青写真で伝えることの限界もわかっていて、やっぱりやってみることが大事で。でも、やってみるということが僕らの場合、一番の難関なんです。家主さんがうんと言ってくれなければ、どうしたって前には進めませんから。丸山さんはそこができるから本当にすごいなって。

 

実際僕らは、やって見せるまで、怒られ続けていました。旅館が潰れていっている町でホテルをつくるわけですから、いったい何なんだって、まるで詐欺師のようにも見られていました。それでも結局、やって見せないといけない。一つやって見せる。1期目までは本当に賛否両論飛び交っていて、若干反対のほうが多かったのではないかと思います。そこはもう勇気を持ってやってみて、終わる頃になってようやく、やってみて良かったねっ、といった感じでした。


「町を良くするために」というメッセージは、間違いがないように、正確に伝える

牛丸:その地域で誰がパワーやアセット(資産)を持っているのかって、町ごとの特性としてすごく違うと思うんですけど、グランドデザインをして長いスパンでそれをやっていくとして、どのタイミングでどういった人たちを巻き込んで、仲間をつくっていくかというのは、地域に限らずいろいろなプロジェクトで頭を悩ませる部分だと思っています。おふたりに追加でお聞きしたいのですけれど、最初は誰を、どういう人を説得していったのですか?

 

質問を投げる牛丸さん。ゲスト二人のリアルな体験談に終始、注意深く耳を傾けていました

 

丸山:合意形成をどうつくっていくかですよね。それもまた、僕自身すごく悩んでいるところです。過去に木造の道の駅をつくるというプロジェクトを企画したことがありました。時間をかけて図面までできていましたが、「それには協力しない」「単独でやりな」という話が出て、最後はほぼ独りみたいな状況なってしまった。野球で言ったら2塁から3塁に向けて走ってしまっているときに、3塁コーチャーがやめろって止める構図なんですよ。そこを押して走って、仮にさよなら勝ちしても、コーチは喜ばないですよね。一部だけがわっと盛り上がっているだけで、いけないことをしてしましたかなって、そんな思いばかり自分には残ります。それはやっぱり、避けたいですよね。本当はもっといろいろなことをやりたいけれど、合意形成が本当に難しいところだと思います。

 

岡田:その点、古民家の場合はまず家主さんとなります。数百年続いた家に対する決断ってすごく重いものですから、寄り添うしかないんですよね。それでも、反対やお叱りを受けながら、いつか仲よくなれるかな、という姿勢だけを崩さないようにしながら今もやっています

 

そのうえで気をつけているのが、町を良くするためなんですよというメッセージは、間違いがないように、正確に伝えるということです。儲けに注目されがちなんですけど、PR部分にもしっかり人員を割いて、正確に伝えていくということをしています。

 

牛丸:10年、100年後こういう町になったらいいな、という思いやイメージを共有している町かどうかで、動ける範囲がぜんぜん違ってくるわけですね。リサーチをしていくうえで押さえておくべきところなのかなって、お二人の話から思いました。

 

吉澤:「Local Research Lab」は、いろいろな人を巻き込んでいきながら、合意形成というよりはその素地をつくっている活動かなと思っていています。今日お二人のお話を聞いて、僕らもそれを果たしていけるといいなと思いました。ありがとうございました!


会の最後には参加者による質疑応答の時間も。みなさん熱心に聞き入り、質問をしていたのが印象的でした


みんなで記念写真!で会は終了となりました

 

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プロフィール

丸山木材ホールディングス株式会社 代表取締役執行役員社長

丸山 大知 氏 

岐阜県中津川市生まれ。大学卒業後住友林業株式会社に入社をし主に輸入木材の販売に従事しカナダのバンクーバーにも駐在し現地の木材の調達を経験し、5年勤め家業である丸山木材工業株式会社(現丸山木材ホールディングス株式会社)に入社。中津川は見渡す限り森や山に囲まれているにも関わらず輸入木材に頼っていることに疑問を感じ国産木材の製材・販売を開始する(MFP合同会社設立)。更なる国産木材の普及のため積極的なM&Aを展開し現在17社に至り、木造ホテル建設(お宿Onn中津川)やコスメ事業(meet tree)など幅広く事業を展開する。

 

みのまちや株式会社 代表取締役/株式会社つぎと 取締役副社長

岡田 岳史 氏

星野リゾートにて、大規模スノーリゾートの再生にリテール部門責任者として従事後、古民家活用市場に参画。全国で古民家リノベーションを基軸としたまちづくりを展開。東海地区では、美濃市、犬山市、名古屋市(有松地区)にて活動中。

 

KESIKI プロジェクトリード/Local Research Lab リサーチディレクター

牛丸 維人 氏

岐阜県飛騨高山生まれ。一橋大学社会学部卒業後、リクルートにてメディア・SaaSプロダクトの事業戦略立案・推進に従事。その後オーフス大学(デンマーク)に進学し映像人類学の修士号を取得。在学中にはフィリピン北部での長期フィールドワークを実施し、視覚障害当事者によるケア実践と社会運動に関するエスノグラフィ執筆、民族誌映画制作を経験。在学中よりKESIKI参画。企業や地域におけるブランディング、カルチャー変革、行政におけるサービスデザインなど多様なプロジェクトをリードする。

 

東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 係長/conomichiプロデューサー

吉澤 克哉

2016年に東海旅客鉄道株式会社に入社後、社員教育や広報を経験したのち、新規事業担当としてJR東海MARKETの立ち上げに従事。主に企画やプロモーションを担当し、名古屋の行列スイーツ「ぴよりん」の無人受取サービス等、多数のプロジェクトを実現。2023年6月には3人の有志で始めた会社非公認のワーキンググループから、地域と訪れる人をつなぐ共創型ローカルメディア「conomichi(コノミチ)」を事業責任者として立ち上げ。「心ひかれるストーリーで、地域と訪れる人をつなぐ」ことをミッションに、累計25地域で関係人口創出プロジェクトに取り組んでいる。

 

 

執筆:川本央子

写真・編集:小池菜摘


conomichiでは

【conomichi(コノミチ)】は、
「co(「共に」を意味する接頭辞)」と「michi(未知・道)」を組み合わせた造語です。

訪れる人と地域が未知なる道を一緒に歩んで元気になっていく、「この道」の先の未知なる価値を共に創り地域に新たな人や想いを運ぶ、そんな姿から名付けました。

今まで知らなかった場所へ出かけて、その地域の風土や歴史・文化にふれ、その地域の人々と共に何かを生み出すこと。そこには好奇心を満たしてくれる体験があふれています。

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