REPORT
2025/02/07

【愛知発酵食文化セミナーVol.2】インバウンド旅行者を知る-タイ・香港を事例として-を開催

117日の第1回に続き、1211日(水)に中部国際空港内のセミナールームにて、「第2回発酵食文化セミナー インバウンド旅行者を知る~タイ・香港を事例として~」が開催されました。

タイ・香港事情に詳しい、タイ国際航空とキャセイパシフィック航空のお2人をゲストスピーカーにお招きしてお話いただきました。後半はインバウンド受け入れにおける課題と解決策についてのグループセッション。グループごとにインバウンド向けのモデルプランを発表していただきました。

REPORT

2025/02/7 更新

【愛知発酵食文化セミナーVol.1】知多・西三河の発酵食と観光の可能性

 愛知発酵食文化×インバウンド観光について、発酵関係事業者によるトーク

 イベントを実施。

  • 魅力発見
  • ローカルプレイヤー
  • 地域資源
  • ガストロノミー
愛知県岡崎市

INDEX

  • テーマトーク①「香港市場について」
  • テーマトーク②「タイ市場について」
  • グループトーク「タイ・香港の方にどんな体験を提供できるか?」

タイ・香港事情を知る前に、まずは主催の中部運輸局 観光部長 佐藤雅様よりご挨拶。現在のインバウンドの観光市場についてのお話と、愛知県内で開催される展示会や観光庁からの補助金などのお知らせがありました。


ツーリズムEXPOジャパン2025 https://www.t-expo.jp/

日程:2025925日(木)~928日(日)

会場:Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)

20259月に愛知県で初開催となる、年に一度のツーリズムEXPO。ブース出店も申込受付中。


「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業(補助金)」( https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo03_00006.html

より効果的に観光消費を拡大し、地域へインバウンドの経済効果を波及させる観点から、地方公共団体・観光地域づくり団体(DMO)・民間事業者等が実施する、自然・文化・食・スポーツ等を活用した体験コンテンツ・ツアー等を支援する事業です。


「地域観光魅力向上事業」( https://miryoku.go.jp/

地方公共団体、DMO、民間事業者等の地域の関係者が連携して地域の多様な観光資源を生かした観光コンテンツを造成し、地方誘客を行う上で来訪の目的の創出を担う重要産業である地域の観光コンテンツ産業の裾野の拡大や活性化に寄与するため、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行うものです。


こうした補助金等も活用いただくなどして愛知の発酵文化を盛り上げていければと思います。

補助金等をご活用される際は精一杯サポートさせていただくので是非我々運輸局へご相談ください。


テーマトーク①「香港市場について」

「インバウンド旅行者を知る」まずひとつめのエリアは香港。キャセイパシフィック航空 日本支社 旅客営業部統括部長の重村 長門様からお話いただきました。


2024年1月に名古屋の味噌煮込みうどんの会社が香港に進出して話題になりました。香港の方々は新しいもの、日本食にはすぐに飛びつく傾向があります。90%以上の方が「日本を好き」と答えていて、日本の四季や自然が良い、治安が良い、商品の質が良い、歴史文化やアニメが好き等ありますが、最もパーセンテージが多いのは食です。香港はGDPが高く裕福なため、インバウンド旅行者の1日あたりの消費額が一番高いです。平均25000円のところ、香港の方は35000円使用しています。その中でも食への消費額はとても大きいです。

嗜好性で言うと、「香港の人は納豆が嫌い」と思われるかもしれませんが、あまりそうした思い込みは取っ払っていただいていいと思います。味噌煮込みうどんが話題になったように、香港の方は「とにかく新しいものにチャレンジしたい」「日本を知りたい」という気持ちが非常に高い方々です。なので、醸造家の方々には、変な形で相手に合わせるのではなく、皆さんの特性をそのまま紹介するのが大事なポイントだと思います。

2024年には日本に来ている香港の方が250万人に到達すると言われています。お伝えしたいのは、香港の人口は700万人強です。ということは、香港の方の3人に1人が日本に来ていることになります。海外旅行に対する意欲がとても高く、行ったことがある国の第2位が日本です。そして、圧倒的なリピーター率の高さがあります。香港の中では日本に行ったことが無いという人の方が圧倒的な少数派で、4~5回来訪しているというデータがあります。


旅行スタイルは完全な個人旅行で、団体旅行は7%しかありません。キャセイパシフィック航空で売れているプランで言うと、航空券+ホテルよりも、航空券+レンタカーの方が売れています。例えば、「関西国際空港から日本に入国し、紀伊半島をぐるっと回って松阪牛を食べ、セントレアから出国する」というパターンがあります。香港は日本と同じ左側通行なので、運転に慣れていることも大きいですね。

どうやって香港の方に愛知の発酵食を知ってもらったらいいかと言うと、一つのご提案は香港で開催されている展示会への出店です。香港では一般消費者向けの展示会が頻繁に開かれています。食の分野では日本酒が紹介されて大ブームになっているし、山﨑ウィスキーの価格が値上がりしていったのは、香港で紹介されて多くの人が購入するようになったからじゃないか?などと言われています。なので、こうした展示会で愛知の発酵文化を紹介していくのも一つの方法だと思います。

また、魅力を伝えるためには、展示会の他にSNSがあります。「テレビや機内のモニターでCMを打ちたい」と相談されることがありますが、香港はテレビが100チャンネルくらいあるし、みんなテレビを見ていません。機内でもCMは早送りされます。ただ、日本に関して情報を得たいというニーズはとてもあるので、「どんなメディアで発信したらいいか?」などご相談いただければと思います。


テーマトーク②「タイ市場について」

次に、タイについてお話いただいたのはタイ国際航空 中部日本地区旅客営業部 シニア セールス エグゼクティブの髙木 久美子様。


当社では深夜便のプロモーションを兼ねて、タイのインフルエンサーさんに三重県と名古屋に来てもらいました。名古屋で人気だったのは定番の名古屋城ですね。あとはパルコや大須などのショッピングエリアが人気がありました。タイの方々は日本のものも好きですが、意外に海外ブランドのものを日本で買うという方も増えています。

中部国際空港からタイに飛び立つ深夜便(24:30発)があります。タイの方は移動時間を効率よく使いたい方が多いため、深夜便は人気となっています。24時半発なので、チェックインが22時としても名古屋で夕飯をゆっくり食べてからでも間に合うし、駆け込みの買い物もできることが支持されています。

どこで情報収集をしているかというと、やはりYoutubeやインスタなどのSNSが60%を占めています。タイではインフルエンサーのフォロワーが164万人とか、少なくても81万人と11万人とかで、日本とはケタ違いです。インフルエンサーにいかに注目してもらえるかがカギとなっています。

名古屋の食事で何が美味しかったかと聞くと、海鮮が人気でした。タイの方は辛い物がとても好きなので、お刺身にはワサビをたくさんのせられたけれど、他の食事にはもっと辛い調味料などが欲しかったという意見がありました。


味が濃いものは好まれるので、味噌おでんも好きな方が多かったです。味噌はタイの方は昔はあまり受け入れられませんでしたが、今は少し変わってきていて、若い世代に味噌は大好評でした。味噌のアイスクリームも出していただいたんですが、それが皆さん「おいしい!」と言っていたので、私たち日本人の感覚では彼らに何がヒットするかはわからないです。なので、色々掛け合わせてみて発酵食を提案していったらいいと思います。日本酒も好きな方は多いですが、やはりスパークリングタイプなどの飲みやすい形の方が好まれます。お酒で言うと、必ずと言っていいほど頼むのは梅酒ですね。

タイの方々にとって、日本で行きたい都道府県の中では愛知県は15位で観光地では名古屋が13位なのでまだまだ伸びしろがある地域です。愛知を思いっきり楽しんでいただける深夜便があるので、皆様と共にこの地域の魅力をお伝えしていきたいと思います。


グループトーク「タイ・香港の方にどんな体験を提供できるか?」

前半にお話いただいたお2人に会場からの質問に答えていただき、さらに今回の中部運輸局主催の事業全体で収集したアンケートの中間報告と第1回発酵食文化セミナーのアンケート結果を皆さんに共有し、グループで議論をする上での参考にしていただきました。


4人1組に分かれ、「2026年のアジアパラ競技大会に向けて、タイや香港の方にどんな体験を提供できるか?」を話し合っていただきました。

そして、最終的にはその体験に「価格」をつけていただきました。


最終発表では、「岡崎城に宿泊し、花火を見たり発酵食を楽しむ宿泊体験(100万円)」や「“カワイイ”をキーワードにして着物を着て漬物を仕込む体験(1万円)」「バスで巡る知多半島1日ツアーですきやき作り体験や酒蔵巡り(2万円)」「アスリート向けの発酵料理教室(5万円)」「愛知の発酵調味料を使った、宿泊型料理体験(20万円)」「七宝町アートヴィレッジで七宝焼きの体験や味噌玉づくり体験(1万円)」「リニアを乗り継ぎながら発酵食の食べ比べ1週間(50~100万円)」「漬物漬け体験と日本酒カクテルとのペアリング(1万5000円)」など、短い時間ながらも個性豊かなプランが発表されました。


資金面や時間的制約などを取り払って考えると、そこから実現可能性のあるアイディアが生まれてきたりします。こうしたセミナーの時間を利用して、新たな取り組みのヒントとなれば幸いです。

次回(最終回)は1月20日(月)「インバウンド受入現場から学ぶ」。年間20万人もの観光客が訪れるようになった味噌蔵の秘密を、仕掛け人の方から直接お話を伺います。


conomichiでは

【conomichi(コノミチ)】は、
「co(「共に」を意味する接頭辞)」と「michi(未知・道)」を組み合わせた造語です。

訪れる人と地域が未知なる道を一緒に歩んで元気になっていく、「この道」の先の未知なる価値を共に創り地域に新たな人や想いを運ぶ、そんな姿から名付けました。

今まで知らなかった場所へ出かけて、その地域の風土や歴史・文化にふれ、その地域の人々と共に何かを生み出すこと。そこには好奇心を満たしてくれる体験があふれています。

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