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ヒト×モノ×地域のマッチングで飯田駅に笑顔を「よっしーのお芋屋さん。」
PROFILE
よっしー-「よっしーのお芋屋さん。」
長野県飯田市
吉川ゆうじさん。神奈川県相模原市生まれ、長野県駒ヶ根市在住。「よっしーのお芋屋さん。」駒ヶ根店と飯田駅店を運営。
多彩な経歴を持つよっしーさんは、衝撃的なおいしさを誇るサツマイモとの出会いを経て、長野の豊かな自然と人情に魅了されて駒ヶ根市に移住。飯田駅のキヨスクが閉店して乗降客が困っていることを知り、売店の復活を目指しました。ヒト・モノ・地域とのマッチングなしには語れない、開店までのストーリーをご紹介します。
開業から100年を超える飯田駅
長野県の南端に位置する飯田市。東には南アルプス、西には中央アルプスの山々がそびえ立ち、風光明媚な景観を誇ります。市の中央を流れる天竜川が田畑に豊かな恵みをもたらし、古くから南信州の中心地として栄えてきました。
市の玄関口である飯田駅は、愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶ「飯田線」の主要駅として開業し、2023年8月に100周年を迎えました。主要都市へアクセスする高速バスの発着地でもあり、通勤や通学、旅のスタート地点として市民の生活に寄り添っています。
コロナ禍などの影響もあり、駅構内のキヨスクが2023年3月末に閉店すると、愛用していた市民からは落胆の声が……。周辺にコンビニエンスストアなどがないことから、軽食や飲み物などを買える売店の存在が切望されました。
そこで立ち上がったのが「よっしー」こと吉川ゆうじさん。こだわりの焼き芋を引っさげ、2024年2月7日に飯田駅のキヨスク跡地で「よっしーのお芋屋さん。飯田駅店」をオープンさせました。
一生を捧げようと決めた芋との出会い
よっしーさんは神奈川県相模原市生まれ。仏壇店の店長、奥湯河原の高級温泉旅館の支配人、地域おこしイベントの仕掛け人など、多彩な経歴をもつよっしーさんは、持ち前の行動力とコミュニケーション能力を発揮し、先々で大きな功績を残してきました。
そんなよっしーさんが運命の出会いを果たしたのが2010年のこと。
種子島の浜風に当てて長期熟成させた「熟成・つるし安納芋」と巡り合ってあまりのおいしさに感動し「この芋と共に生きていく」と決意。準備期間を経て、2013年に神奈川県藤沢市で「よっしーのお芋屋さん。」を創業しました。
その後、活動の拠点を横浜へ移し、全国の生産者を訪ねていたときに、長野県駒ヶ根市の風土と住民の人柄に惚れ込んでしまったというよっしーさん。横浜の店舗を弟子に譲って駒ヶ根に移住し、2022年6月に「よっしーのお芋屋さん。駒ヶ根店」をオープンさせたのです。
地域と共存共栄しながら待合室に再び活気を
よっしーさんは駒ヶ根で着々とファンを増やし、キッチンカーの出張販売で飯田市を訪ねたときに、キヨスクが閉店して駅の利用者が困っていることを聞きつけました。ガランとした駅の待合室を見て「ここで気軽に食べられるものを提供し、待ち時間を有意義に過ごせるようになったら、また活気が戻るに違いない!」と確信。善は急げと、売店の復活に向けて即行動へと移しました。
よっしーさんはキヨスク跡地に売店を出店できるか駅側へ打診するとともに、周辺の店舗や人々の声をリサーチ。地元のベーカリーや米穀店が営むおにぎり屋、和菓子店に声をかけ、それぞれの商品を店頭に並べる道筋もつけていきました。
「飯田駅の構内に出店するからには、地元の商品を販売するのが大前提でした。飯田市には素晴らしいお店や食文化があることを、地元の人にも再認識してもらって、共存共栄しないと意味がありません」とよっしーさん。熱い思いに各店の店主が賛同し、オープン当初からショーケースにはパンやおにぎり、和菓子が並び、利用客からも好評を得ています。
皆さんが笑顔になれる場所でありたい
焼き芋との出会いをきっかけに、関わる人々に笑顔を届け続けているよっしーさん。地元の商品や焼き芋を販売するだけでなく、周辺の休耕田でサツマイモを栽培する取り組みをしたり、地元が誇る干し柿にも使われる機械を焼き干し芋に活かしたりするなど、生産や雇用の創出にも積極的です。
「焼き芋を介して、ヒト・モノ・地域をマッチングし、飯田の皆さんが笑顔になれる場所であり続けたいです」と語るよっしーさんのアイデアは尽きることなく、ユニークな化学反応に期待は高まるばかりです。
(注記)
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