【後編】駅の可能性をみんなで考える(さかさま不動産・たじみDMO・JR東海)
- 日 程
- 11/14
- 場 所
- 岐阜県多治見市
単に電車が停まり人が乗り降りする場所というだけでなく、駅という場所は地域の人たちにとってもっと深い意義や存在価値があるはずです。
今回のプロジェクトはJR多治見駅を舞台に、駅を起点としたまちの賑わい創出の仮説実証を行い、「まちにおける駅の価値」を検証します。
実証実験を行うメンバーで多治見のまちを歩いて、さまざまな人にお会いしながら「駅」という場所を活用して何ができるのかを探ってみました。
INDEX
- 商店街の方の声① 【有限会社玉木酒店 玉木秀典さん】
- 商店街の方の声② 【株式会社新町代表 花山和也さん】
- ヒラクビルにて今日の振り返り
商店街の方の声① 【有限会社玉木酒店 玉木秀典さん】

-玉木酒店にて-
一同:おじゃまします!よろしくお願いします。
玉木:どうぞどうぞ。こちらこそよろしくお願いします。
田平:こちらは大正初期に創業された老舗の酒屋さんで、四代目の秀典さんは現在、ながせ商店街の理事長を務めていらっしゃいます。まさにこのまちのキーマンですね。
白石:はじめまして。私たちは駅の構内や駅前の空きスペースを活用して利便性の向上を図ったり、賑わいを生み出すなどの業務を担当していますが、現在のところはまだなかなか形になっているものは少なく、今後は地域の事業者さん方と手を組みながらまちの賑わい創出のお役に立てないだろうかと考えています。
水谷:先ほど多治見駅の駅長さんにもお会いしてお話しをうかがってきました。
玉木:ああ、野村さんね!
水谷:お知り合いですか?
玉木:ええ。うちにも来てくださったこともありますし、いろいろ良くしていただいています。
水谷:駅長さんは駅の中で一杯飲み屋をやりたいっておっしゃってましたよ(笑)
玉木:そうなんですか。野村さんが多治見にいらっしゃるうちならできそうですね。こういうことって、まず一発目に動いてくれる人がいないと始まらないですからね。
水谷:そうなんですよね。とりあえず月に一度くらいのペースで定期開催して、まちの人たちからの希望があれば、その後、駅長さんが代わられてもイベントとして継続していけるようになるかもしれないですしね。玉木さんはこのアイデア、野村さんから聞いたことありました?
玉木:いや、初めて聞きました。実は先日も駅長さんがうちに訪ねて来られたんですよ。JR東海さん主催の「さわやかウォーキング」っていうイベントで、うちの店を立ち寄り先に使わせてもらえないかと相談があって。それじゃあということで、うちで百円試飲をやることにしてウォーキングの途中の給水所として使ってくださいとお伝えしたんです。
水谷:そういう形での連携がすでにできていたんですね。
玉木:ここで試飲を楽しんでもらって、それを景気づけに駅前のお店で飲んだり食べたりして電車で帰ってもらえたら商店街の活性化にもなるかなと思って。
水谷:駅を使ってまちと一緒に何かやろう、みたいな話にまではなっていないんですか。
玉木:そこまでの話にはなってないですね。
白石:「さわやかウォーキング」は他の駅や地域でも実施しています。一部の駅ではさわやかウォーキングにあわせて、駅で小規模な出店はしていることはありますが、まちと連携した大規模なイベントまではあまりやれていないかもしれません。
玉木:駅は発着点というだけで駅そのものを活用する感じにはなってないですね。けど、そういったイベントは我々としてもありがたいんですよ。イベントのホームページに店の情報などが入ったマップが掲載されているので、事前にダウンロードしてまちのことを調べてわざわざ来てくださる方もいます。
白石:そうでしたか。

水谷:玉木さんとしては今後、駅と連携してできることがあればな何かやってみたいと思いますか?
玉木:もちろんです!特に今の駅長さんから相談を持ちかけられたら断れないですよ(笑)
坂本:改札の中の広い場所を使って、地元のお酒を出す飲み屋が本当に実現できたらすごいよね。
水谷:すごいですよね。けど、できない理由はないんですよね?
白石:前向きな駅⻑であれば、そういった思い切った企画も実現可能性が高まります。
水谷:多治見やその周辺には有名な酒蔵が多いので、地酒の宣伝もしたいようなこともおっしゃっていました。玉木さんとしても何かアイデアありませんか?
玉木:そうだなあ…うちがやるとしたらやっぱりお酒に関することになるんでしょうけど、仲間と一緒に何か面白いことやろうぜって考えていることは他にもいろいろあるかな…あ、でもまだあんまり詳しく喋るとまずいかな(笑)
水谷:秘密の計画があるんですね(笑)。まちのプレイヤーだったら駅で何かできるとなればやりたいこと持ってる人はたくさんいるはずですよね。黙ってても人が集まる場所ですから。
坂本:僕は普段、奈良にいるんですが、奈良にも、一時は栄えたけれど徐々に寂しくなってしまったような商店街があります。今日、みなさんとながせ商店街をじっくり歩かせてもらって、玉木さんのように古くから商売をされてきた方と新しくまちに来た人とが上手く共存されていて、良い感じに新陳代謝できている印象を受けました。玉木さんの存在自体がこのまちの価値を底上げしてるんだなと思いますし、羨ましいくらいです。
玉木:いえいえ。理事長だってみんなに祭り上げられてやってるだけなんですよ。
田平:理事長さんだからというわけではなく、玉木さんのもとにはいろいろな方が相談に来るんです。まちで何か始めたい人がいると背中を押してくださるし、できる方法を一緒に考えてくれる。しかも実現率がめちゃくちゃ高いんです。最近では飲食関係の方を呼んでイベントができるようにと飲食店営業許可も取られたんですよ。
玉木:店の隣に「ana bar(アナバー)」っていうスペースを作ったので、、これからまちで飲食店を始めたいとう人に、そこでポップアップイベントとかやってもらえたらいいかなと思って。
田平:そういう人がまちにいるってすごく頼もしいです。
玉木:うちの店は基本、他力本願なんでね(笑)。他人の力、つまり誰かと一緒に楽しむことでお互いが幸せになれたらいいやんって思っています。いろんな人と繋がるって楽しいじゃないですか。それはまちでも同じこと。自分だけじゃなくみんなが楽しめば全体が良くなっていく。多治見には面白い人がたくさんいて、組み合わせ次第でいろんなことができるようになってきています。田平さんたちDMOさんの活動のおかげでできてる部分も大きいですよ。
水谷:さらにJR東海さんと連携できたらすごいことになりそうですよね。
玉木:駅が力を貸してくれているとか、一緒にやらせてもらえるっていうだけでも見え方が全然違いますからね。一気にオフィシャル感が出るというか、信頼度が違う。それだけでも地域にいる僕らが駅と一緒に何かができるとみんなの気持ちがあがるんじゃないかな。
白石:玉木さんがこのまちで何かに挑戦したい人の背中を押していらっしゃるように、私たちも駅の持つ価値を生かして背中を押せるような存在になれたらと思いました。
玉木:本当にそうですね。ぜひ、もっとまちに降りて来てください!
商店街の方の声② 【株式会社新町代表 花山和也さん】

-花山さんが手がける多治見銀座商店街の貸しアトリエにて-
多治見市では多くの作家さんが自宅やマンションの一室などで制作をしているため、制作風景が見られる場所が少ない。まちの中に焼き物のまちらしさが感じられたらと、多治見銀座商店街の中で10年ほど空き家になっていた物件を花山さんが借り受け、陶芸の工房にリノベーション。現在は数名の作家さんがシェアしている。
多治見銀座商店街〜新町ビルへ
花山:この「新町ビル」は築55年という古いビルを借りてこのように改装しました。一階がギャラリースペースで二階は陶器のお店になっています。
田平:花山さんは2018年に始まった多治見のビジネスプランコンテスト「タジコン」https://www.tajicon.com に応募されて、新町ビルのプロジェクトでグランプリを受賞されました。
花山:当時、名古屋から多治見に移住して5年目ぐらいで、最初は焼き物を作るブランドを手がけていました。多治見には作家さんもたくさんいらっしゃるし、面白い作品もたくさんあるのに見てもらう場所が少ないと感じていたんです。そんな時にこのビルが空いていることを人づてに聞いて、自分で借りてそういう場を作ろうと思いました。それが地域にどう影響していくか、地域が何を求めているかということなどを考えながらビジネスプランを立て、タジコンに応募しました。
坂本:確かに全国にもいろんな焼き物の産地がありますけど、多治見は他に比べて少ない気がするなあ。
花山:美術館もあるし、いいギャラリーもあるんですけどね…。ここで扱っているものの多くはこのエリアを拠点に活動する20代〜50代ぐらいの作家さんの作品が中心なんですが、そういうものは特に他の場所ではあまり見る機会がないんです。なおかつ、作家さん同士の交流のための場所にもなればいいなと思っています。
白石:展示や販売だけでなくコミュニティの場にもなっているんですね。
花山:そうなるといいなと思っています。イベントなどを行っていろんな出会いが生まれたり、お互いに情報交換ができたり。そういうことがここで日常的に起きたらいいなと。
水谷:作家さんたちは普段、家や工房の中で仕事をされているから、まちに出ることって少ないのかもしれないですね。
花山:そうですね。多治見には市が運営する「陶磁器意匠研究所」という施設があり、県立多治見工業高校には陶芸の専攻科もあるんですが、同じ市内にありながらお互いの生徒さん同士の交流はそんなに多くないんです。
坂本:せっかく素晴らしい施設があるのに交流が少ないのは残念やね。
花山:ここを始めて一年目の頃、一階でイベントをしたんですが、同じテーブルでそれぞれの学校の学生さんたちが交流していたんです。その様子を見た時にこの場を作った意味を感じることができましたね。
白石:いいですね。私たちも駅舎や駅構内、さらに駅の敷地内にある空きスペースなどを活用して、地域のみなさんと一緒にまちに貢献できるような場所にしていけたらと思っているんですが…。
花山:できます!
白石:できますか?そう言っていただけると嬉しいです。ただ、これまで地域の事業者さんたちとの関係性が薄くあまり繋がりがなくて、まちのみなさんが駅に対してどんなことを期待されているかとか、まちにとってどんな存在であるべきなのかをキャッチアップできていないのが課題なんです。
水谷:例えば、食べたり飲んだりすることと陶器ってすごく相性がいいので、多治見駅でポップアップイベントをする時に地元の作家さんの作品を使うとか。「多治見のイベントって器のレベルが高いね!」みたいに評判になりそう。
白石:素敵ですね!
水谷:地元の産業の支援に繋がるようなことをJR東海さんが担ってくださったらきっと地域のイメージも上がりますよ。
花山:多治見駅に降り立つとコンコースとか駅周辺の通りなどに作家さんの作品がいくつか置かれていますよね。あれって実はすごく価値のあるものなんですが、駅を利用している人のほとんどは見てない。しかも焼き物のまちなのに身近に感じられる場が少ないんです。駅前とかに作家さんの工房があって、作業の様子を間近に見ることができたりすると良いかも。
水谷:観光地に行くとガラス工房とかあったりしますが、それよりももっと日常的な普段の仕事の様子が見られたら面白そう。
花山:僕の友達はまちにレンタルできる窯があるといいねって言ってました。特に若手の作家さんは自分の窯を持ってる人は少なくて、外で借りて焼いている場合が多いんです。みんなでシェアできるレンタル窯が駅前とかにあるといいかもしれない。
坂本:作家さんたちにとっても便利だし、駅を利用する人たちは地元の産業を身近に感じてもらえそうで良さそうやね。
花山:あと、駅でろくろを引く体験ができたら楽しいかも。陶芸教室で先生について教えてもらいながら作品づくり体験っていうのはよくありますけど、ろくろの前に座ってただただ無心に土を触るだけ。ストリートピアノのろくろバージョンのような。
白石:それもいいですね!
水谷:駅長さんがやる一杯飲み屋でお酒を飲みながら、その横でろくろで土いじり…なんか、すごい童心にかえれそう(笑)

坂本:ところで多治見市とか行政的には地元のアピールや見せ方についてどんなふうに考えているんでしょうね。
花山:「日本一暑いまち」みたいなわかりやすい話題には力を入れてますね(笑)もちろん、産業としての焼き物についてもいろんな形で推していると思います。
水谷:有名な焼き物の産地って全国にもいろいろあるけど、駅前をうまく使っているケースってあるのかな。
坂本:信楽とか伊賀とか九州の波佐見とか、駅を降りたところから焼き物のまちっていう雰囲気がありますね。この近くだと瀬戸や常滑なんかもそうかな。
水谷:僕は建築が好きなんで、そういう視点で見ると多治見はタイルを使った建物が多いなっていうのがわかるんですけど、普通に歩いているだけだとわかりづらいかもしれない。
花山:タイルは多治見の笠原地区が生産日本一なんですが、ただ地場産業としての歴史で見ると、美濃焼の産地の中心はお隣の土岐市と瑞浪市で、多治見はそれらを販売する商社さんが多く集まるまちという背景があります。
坂本:産地というより物が集まってくる場所やったんや。それで強いカラーが出にくくなってるのかな。せっかくいい物があるのに伝わりきれてないのは勿体無い感じがしますね。
花山:生産の中心は土岐や瑞浪ですが、多治見でも生産はしていますし、数は少ないけど駅には国宝級の茶碗や著名な作家さんのオブジェが展示されているので、若い作家さんの現代的な作品なども紹介して多治見には時代やジャンル別に見ても実は幅が広く、良いものがたくさんあるということを知ってもらいたいですね。
水谷:まちの中に新町ビルのような場所があるといい作家さんがいるということをアピールできますね。まちと駅とが一緒になってまちのイメージを伝えることが大事だと思う。
白石:単なる交通の結節点でなく、駅がもっと地域交流の場やまちの魅力発信の場になっていきたいですね。
花山:できます!
水谷:ぜひ一緒にやりましょう!あと、僕らから見ると多治見の人たちってみんな仲が良いイメージがあるんですけど、それってなにか理由があるんですかね。
花山:うーん…やっぱりそこは〝バイブス〟じゃないですかね(笑)
水谷:やっぱ、バイブスですか〜(笑)
花山:まあ理由はいろいろあると思いますけど、上の世代の人たちに聞くと、昔から商社のまちとして栄えて来た土地柄なので、他所から来るお客さんはすぐにわかるらしいんです。おもてなしの文化が根付いていて敵を作らない気風があるようです。
坂本:なるほど。そこも興味深いですね。大阪もそうやけど商いのまちって知らない人にもまず挨拶するし、コミュニケーションを取ろうとする。そういうのが上手い人が多い。
水谷:そこが大きな特徴なんですね。
花山:名古屋から移住した僕がここでお店を始めようとしていた時も、工事中に近所の方に話しかけられて「焼き物の店をやるんです」と言うと、「頑張れよ!」ってすぐに受け入れてくださったんです。焼き物に関わることをやるとなればより温かく応援してくださると思う。
水谷:やっぱり焼き物は地元の人たちの誇りなんですね。
花山:外から来る人たちはもちろん、まちの人たちに向けてもあらためて焼き物の価値を伝えていきたいですし、地元愛をくすぐられるようなものが生まれたらいいですね。
ヒラクビルにて今日の振り返り

【参加者】
小口英二さん(たじみDMO)
水谷岳史さん(さかさま不動産)
坂本大祐さん(オフィスキャンプ)
白石陽菜さん(JR東海)
水谷:今日は多治見駅を起点にまちを歩いて、いろいろな方にお会いしてお話しをうかがいました。あらためて小口さんはどんなことをお感じになりましたか。
小口:僕らは日常的に駅周辺と呼ばれるエリアの中でまちの活性化を目指す活動を続けているんですが、あくまで駅周辺が対象であって駅の活性化ではなかったんだということに気づきました。
坂本:確かに。駅の活性化って他でもあまり聞かないよね。
小口:そうなんですよ。過去には暫定的に駅の敷地をお借りしてイベントを行ったりしたことはあったんですが、駅を使って何かをするとかそこで何ができるかを考えるとか、今まで想像したこともなかったので。
水谷:まちの活性化を考えると言っても、駅そのものは対象に入ってなかったということなんですよね。
小口:そう。まるで台風の目みたい(笑)。でもこれまで空気のような場所だと思っていた駅が実はそうではなかったとわかり、今後いい形で使うことができたら、まちがもっと盛り上がるんじゃないかと楽しみになりました。
白石:私たちも駅がみなさんにとって空白地帯だったんだっていうことがよくわかりましたし、みなさんのご意見を聞いてたくさんのことを学ばせていただくことができたのも良かったです。
水谷:なんか、お互い好きだったくせに付き合わない、みたいな感じですね(笑)
白石:本当ですね(笑)。ようやくお互いの想いが通じて距離が縮まり始めましたね

水谷:実は僕も最初は小口さんと同じようなことを感じていたんです。そもそも駅で自分らが何かをやるなんて発想が無さすぎて。普通、不動産って駅に近いほど価値が上がるじゃないですか。それを駅から0分の場所で自分たちでアイデアを出して何かができるって、それだけですごいことだなって思う。
小口:そういえば間もなく多治見で「美濃焼祭」が開かれますが、このお祭りは〝駅から始まる美濃焼探求の旅〟というテーマで、もともとは駅との連携で企画がスタートしたものなんですよ。
水谷:そんな取り組みがあったんですね。
小口:今年で13回目になりますが、行政主導で駅と一緒に取り組むイベントなんてそれまでになかったことだったので、当時はニュースにもなり委員会もできました。やはり駅というのは地元の人にとっては特別な場所なんですよ。
坂本:今日いろいろ見せていただいて、僕は、駅とまちとの〝匂いの差〟みたいなことがずっと気になっていました。JRさんの駅ってすごく綺麗に整備されていて良くも悪くもニュートラルな感じ。つまり色や匂いが薄い。けど、まちに一歩足を踏み入れると逆にそれらがはっきりと感じられる。この差はなんだろうって。
白石:そうですね。多治見に限らず他のまちでも同じようなことが言えるかもしれませんが、駅を出てまちの中に入ってみると地域の魅力がたくさん見えてきます。そういう場所がきっとたくさんあるんだろうなと思いました。
坂本:それだけ差がある駅とまちをどう繋げたらいいのか、そこがこれからに向けての可能性の部分なんだろうね。自分のまちに帰ってきたなあって肌で感じられて、僕らのような旅の者にとっては、そのまちの色や匂いが自然に感じられるような。そこを目指せば駅がみんなに愛される場所になっていくんじゃないかな。
白石:たくさんの方が利用してくださっているものの、単なる通過点になってしまっていたのはすごくもったいないですし、まだまだ駅にはポテンシャルがあるということですね。
水谷:ありますよ!今回のような取り組みをきっかけに、まちも駅もいい方向に変わっていくんだろうなっていう予感がします。一方でどんな人に使ってもらうのがいいのか、そこについても慎重に考えていく必要はありそうです。その点、小口さんはどう思われますか?
小口:そこが本当に大事ですよね。人が集まる場としてすでに良い条件が整っているので、いずれこのまちで何か始めたいと考えている人がチャレンジの場としてまず試しにやってみる。そういう場所にすごく向いている気がします。

水谷:人選する際に、はっきりした基準みたいなものはなくてもいいですかね。使えるスペースに限りがあるなかで使いたい人がそれを超えてしまった場合など、基準がないと選ぶのが難しくなるかなって思うんですけど。
小口:決め方が重要だよね。
水谷:さかさま不動産をやっててわかったのは、不動産って価値が高いほど借りられる人がおのずと限られてくるということ。条件のいい物件は当然、家賃も高くなるし誰でも借りられるというわけにはいかなくなるじゃないですか。けど何でもかんでも経済合理性の中でしか決められないなんて面白くない。今回も、もし駅を使えるのなら経済的合理性以外の部分で使う人を決められたらいいなって思う。価値の高い場所だからこそ民主主義的に決める。駅をモデルにそんなことを実証できたらいいなと。
小口:なかなか難しい問題だけど、事業のセンスがいいとかそこに信頼を置ける人であることも大事ですよね。シンプルに、この人にならやってもらいたいって思える人に声をかけていくことになるのかな。単に駅で商売をするっていうことではなく、まちの輪の中に入って一緒に盛り上げてくれそうな人を選んでいくとか。
水谷:DMOさんだけでなく、玉木さんとか花山さんみたいにまちのキーマンになる人にも入ってもらって合議制で決めるとかね。めんどくさいんだけど、その面倒なプロセスにこそ意義がある気がする。
坂本:結局、そういう方向になるんやろね。民主主義的にといっても全員がそれを正しく理解できてるとは限らないし、人選に関わる人たちだけでも、ある程度揃った規範のもとで進めないと大変なことになりかねない。逆に考えれば、こういう編成って行政主導ではできなくて、駅やまちが主導だからやれるとも言えるね。
水谷:駅だけでやったとしても行政寄りの立ち位置に見えてしまうから、なんであの人ができるのにこっちはダメなんだ、みたいなことを言われそう。
坂本:そこにDMOさんがいて、さらにまちのプレイヤーさんも加われば問題ないと思うし、そこから多治見のカラー見えてくるといいね。
水谷:この編成でプロジェクトが上手く進んだら、きっと小口さんのところに「どんなふうにやったんですか?」みたいな相談が来ますよ。
坂本:絶対、来るやろね。
水谷:その時に、基準はここなんじゃないかみたいなことを明確に伝えて、納得や共感を得た上で他の地域にも事例が広がっていけばいいなと思う。今後は多治見だけでなく他の駅でもやりたいですしね。
小口:例えばタジコンの場合、評価軸のようなものがあるとしたら、まちの価値を上げてくれる人、もしくはこの人を選べばまちのための人材になってくれるだろうと思える人というのがあるんです。事業の中身そのものの評価ではなく、あくまで多治見にとって良いかどうかが判断基準になっている。今回も駅を使うという条件の中で、その場の価値を上げてくれるか、この場を使って何をしてくれたらまちにとって良い結果に繋がるか、そういう評価軸を明文化できたら選びやすくなりそうですね。
水谷:使い手側だけの話ではないということをはっきりさせて、その上でなぜこの人が選ばれたのか、そこを明確に打ち出す。つまり選ぶプロセスを透明にすることが大事になりますね。
坂本:一般的にテナントを決める時って資本主義的合理性によって選ばれることが多いじゃないですか。だからあえてそうではないものを組み込む。そうしないと結局は見た目ばかりがピカピカになって、まちの色や匂いが消えてしまう。そこをどう考えるかがポイントになるのかも。
水谷:そこはぜひ試してみたいところです。では最後に白石さん、今日一日まちを一緒に歩いてみていかがでしたか。

白石:私自身、これまで仕事で多治見に来たことはあったんですが、駅で完結してしまっていて、まちに目を向けられていなかったと改めて反省しました。少し足を伸ばしてまちに出てみるだけで魅力を感じることができるんですね。今日もまちの中ですれ違う人たちと挨拶を交わすだけで自分の地元で味わうような安心感と温かさを感じましたし、駅とまちとが繋がればお互いの価値や魅力をもっと深く知ることができるんだろうなと実感できました。可能性を強く感じる一日でした。ありがとうございました。
水谷:駅を活用して地域のために何ができるか、そんなワクワクするお話から、それを健全なやり方で実現するために何をするべきかという大切な部分についてまで、今日は有意義な意見を交わすことができました。まず誰かが動き出すことから同じようなことをやってみたいという人たちが必ず後に続いていくと思います。そんな人がたくさん現れることを期待しつつ、引き続きプロジェクトを進めていけたらと思います。
みなさん、今日は一日ありがとうございました!
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【conomichi(コノミチ)】は、
「co(「共に」を意味する接頭辞)」と「michi(未知・道)」を組み合わせた造語です。
訪れる人と地域が未知なる道を一緒に歩んで元気になっていく、「この道」の先の未知なる価値を共に創り地域に新たな人や想いを運ぶ、そんな姿から名付けました。
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