
【里山ライフアカデミーin伊吹山Vol.2】伊吹山フィールドワーク 山の多様性から学ぶ“自然な生き方のヒント”
- 日 程
- 11/18
- 場 所
- 滋賀県米原市
INDEX
- さっそく出会った動物は!?
- 人工林では植物は育たず動物たちも生きられない
- シカの食害で山が崩れやすくなってしまった
- イヌワシ以外にも冬鳥がやってきています
- 風のある豊かな山に暮らすイヌワシ
- 実際に来て、自然について考えるきっかけに
- 伊吹山の霧、ぜんぜん晴れません!
- 天気もイヌワシも、人間の思うようにはなりません
数日前から天気予報は雨、伊吹山に登れるかどうか心配でしたが、11月17日当日は曇り空。「里山LIFEアカデミーin伊吹山 Vol.2」は無事開催です。

伊吹山ドライブウェイ入口には他府県や遠くは東京から、イヌワシに会いたい気持ちでいっぱいの15名が集まりました。
出発前に、今回の案内人イーグレットオフィスの須藤一成さんよりイヌワシについてご説明いただきました。山頂では今年巣立ったサーナが狩りの練習をする様子が見られるかもしれないとのこと、期待が膨らみます。さぁ、米原市のワゴン車2台に乗り込んで出発です。
さっそく出会った動物は!?

カモシカはじーっとこちらを見て動く様子もなく佇んでいましたが、体の黒い毛が保護色となって岩肌に溶け込んでいます。教えていただかないと気がつかない、伊吹山の動物を知り尽くす須藤さんによるガイドの醍醐味です。幸先の良いスタートにイヌワシに会えるかもしれないという期待が膨らみます。
人工林では植物は育たず動物たちも生きられない

紅葉した木々の間に青々とした緑の林が広がっています。そこは人工林。人間が木材を得るために植えたエリアで、針葉樹のスギやヒノキなど単一的な植林となっており、それらの木材は使われないまま放置されています。密集して植えられた林の地面には光が届かず、暗くて草が生えていません。
須藤さん:こうした人工林が40%を占めていて、そこでは草は育たず、動物にとって生きづらい場所になります。
手入れされずに放置された人工林を自然林に戻して、動物たちや植物が暮らしやすい豊かな森に戻すこと、それが伊吹山の動植物との共存の道の1つだと、須藤さんは提案しています。
シカの食害で山が崩れやすくなってしまった
山頂付近の駐車場に到着。待ちに待ったイヌワシ観察の時間です。早速観察を始めますが…目の前には真っ白な霧が立ち込めていて何も見えません。伊吹山は1年のうち300日は霧に覆われる山で、そのおかげで山頂の綺麗なお花畑が楽しめるのだそうです。霧が晴れるのを待ちながら、須藤さんのお話を聞きます。

須藤さん:今、霧で見えませんが、ここも昔は草花が足の高さぐらいに鬱蒼と茂っていました。今見ていただくと、もうほとんど背の高い植物はなくなっています。全部シカが食べてこのような状態になっています。伸びてきた若芽もすぐ食べられ、山は植物の根っこで保水することができなり、土壌が崩れやすくなっています。

増えすぎたシカ、保水力を失った土壌、森林生態系の頂点と言われるイヌワシが生息する伊吹山でも、今生態系のバランスが崩れています。
イヌワシ以外にも冬鳥がやってきています
参加者:イヌワシ以外の鳥も見られますか?
須藤さん:今飛んだのは冬鳥のアトリです。小鳥の群れが山の斜面に降りてくるようであれば、ハギマシコの可能性が高いです。オスは胸が真紅色で綺麗な鳥ですよ。あとはお腹の黄色いアオジですとか、黒っぽいのはクロジです。よく見るといろんな種類が来ています。
小鳥との出会いにも期待しながら図鑑でチェック。

風のある豊かな山に暮らすイヌワシ
お昼近くになっても霧は深く、目の前は白いモヤに包まれたまま。イヌワシを待ちながら話に花が咲きます。
参加者:イヌワシは天気が悪いと狩りができないのですか?

柴野さん(イーグレットオフィススタッフ):そうですね、イヌワシは上昇気流を利用してほとんど羽ばたかずに飛ぶので、長時間ガスの中、無風状態だと体力を使ってしまいます。そんな時は無理せず、風が吹くのを待つと思いますよ。
参加者:イヌワシは風を使って羽ばたかずに飛ぶのですね!
スタッフの柴野さん:はい。かなり強い風の中でも飛びますし、逆に羽ばたくとイヌワシらしくないな、と感じますね。調査をしているとビューっと風切り音だけが聞こえてくることがあります。こちらからは見えず、どこ!?と待っていると、後ろの方で林に突っ込んでいたりして。そういう場面に出会うと、本当に他の鳥とは格が違うなと感じます。
近年、自然エネルギーとして注目される風力発電ですが、計画される場所にはイヌワシやクマタカが暮らしていることが多いそうです。どちらも山の豊かさを表す生き物です。風力発電開発にはバードストライクや山の環境破壊など生き物達への影響が懸念されます。エコエネルギーって本当にエコなのかなぁ?と考えるきっかけに。
少しだけ霧が晴れると、参加者がシカを発見!薄くモヤのかかる山の斜面に、立派な角の雄ジカが草を食んでいる様子が見られました。と、観察しているのも束の間、すぐにまた濃い霧が立ち込めます。

気がつくと正午、あっという間にお昼の時間です。山頂駐車場のレストランに行くグループと、イヌワシを待ちながらお昼をとるグループに分かれます。お昼ご飯の後、参加者にお話を伺いました。
実際に来て、自然について考えるきっかけに

―今回はあいにくの天気ですが、実際に伊吹山に来てみていかがですか?
八田さん:昔とは環境が変わって、今はシカが増えてきていると聞いて。そういう状況も知らなかったですし、そこに対していろんな人が関わり合って、対策してらっしゃることを知れてよかったなと思います。人と環境・自然との関係というのはすごく大事だと思いますし、そこに対して何かできることかあるかな?と考えるきっかけになりました。もともと滋賀出身で、今後滋賀に戻りたいなという思いもあるので、そういうことも含めて良い機会になりました。
八田さん(奥様):普段、山や川が好きでよく行きますが、こんな風に自然のことを考えながら行くことはあまりなかったので、生き物のことや、山のこれからの環境のことを考えるきっかけになって、実際に来てすごく良かったなと思います。
大迫さんはWebメディア「YAMA HACK」の編集長、今回はお忙しい中お仕事を調整しての参加とのこと。

―里山LIFEアカデミーVol.1にも参加されたとのことですが、本日Vol.2に参加されていかがですか?
大迫さん:イヌワシという名前ぐらいしか知らなくて、須藤さんのお話を聞いて、どういう生き物なのか、人間との関わりや、環境や生態系の中でどういう役割を果たしているのか、を知ることができてよかったです。実際に現地に来てみて、イヌワシが住んでいるこの環境がどのように変わってきているのかを知って、どうあるべきかという答えじゃなくて、どう考えるのかというお話を聞かせていただいて、自分が環境について考えるきっかけになりました。
伊吹山の霧、ぜんぜん晴れません!
霧は晴れないまま、目の前は真っ白!イヌワシを待ちながら、参加者のみなさんの簡単な自己紹介タイム。それぞれの自然に対する関心の深さとイヌワシへの想いが伝わってきます。
和やかに時間は過ぎていき、気がつけばあっという間に終了の時間となりました。
イヌワシを最初に見つけた方に贈呈されるファーストディスカバリー賞、今回はシカを最初に発見した方が受賞することに。

受賞者には昨年多くの人の心を動かした幼鳥ニーナのイラスト付きマグカップが贈られました。こちらのイラストは配信でニーナを見守っていたイヌワシファンの視聴者が自分にできることを、というご好意で描いてくださったそうです。イヌワシを思う心が人を繋ぎます。
最後にみんなで記念写真。

天気もイヌワシも、人間の思うようにはなりません

今回はずっと霧が晴れないままで、残念ながらイヌワシには会えませんでしたが、それもまた伊吹山!お天気もイヌワシも人間の思うようにはなりません。みなさん、それぞれの気づきを胸に笑顔で解散となりました。
「里山LIFEアカデミーin伊吹山 Vol.1」のトークセッションで須藤さんが「“少し我慢する”ということが野生動物たちや自然との共生の道ではないでしょうか」と言っておられたのを思い出します。須藤さんの知り合いの地元のおばあさんは、畑の大根をサルにかじられてしまった時に、「サルもちゃんと私らの食べる分を残してくれた」と笑っていて、その余裕のある大らかさにとても感心させられたそうです。
現代に生きる私たち人間と、動物や自然の時間の流れは違います。それぞれが少しずつ我慢することで共生する。そんな大らかな生き方のヒントが、ここ米原の、畑の作物に、イヌワシに、そして伊吹山にあるのかも知れません。
イヌワシを見にまた伊吹山に来よう!その時には「ガードレールや柵を越えない」というルールを守ることが、イヌワシファンにできる少しの我慢。自然との共生について色々と学び、考える機会となった1日でした。
conomichiでは
【conomichi(コノミチ)】は、
「co(「共に」を意味する接頭辞)」と「michi(未知・道)」を組み合わせた造語です。
訪れる人と地域が未知なる道を一緒に歩んで元気になっていく、「この道」の先の未知なる価値を共に創り地域に新たな人や想いを運ぶ、そんな姿から名付けました。
今まで知らなかった場所へ出かけて、その地域の風土や歴史・文化にふれ、その地域の人々と共に何かを生み出すこと。そこには好奇心を満たしてくれる体験があふれています。
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