貸切列車で広がる学びの旅 ― 沼津視覚特別支援学校との取り組み
校外学習に合わせた貸切列車の運行
2025年11月11日、早朝の沼津駅に元気な子どもたちの姿がありました。沼津視覚特別支援学校の校外学習に合わせ、
沼津-静岡間でJR東海が貸切列車を運行したのです。この取り組みは、2023年に始まった学校との交流がきっかけでした。
県内の視覚支援・聴覚支援学校と連携し、乗車中に地震が発生した場合を想定した避難訓練を体育館や実際の車両で実施。
その中で、生徒から「普段の列車乗降時も不安を感じる」という声が寄せられました。こうした意見を踏まえ、
鉄道を安心して利用できるよう、貸切列車での学びの機会を提供することになりました。
列車を通じた“学びの体験”
出発時刻の20分前、ホームには貸切列車が停車していました。普段は到着後すぐに発車する列車ですが、
この日は写真撮影やホームと列車の隙間を確認するなど、ゆっくり体験できます。9時20分、貸切の普通列車は沼津駅を出発。
車内では制服を着ての写真撮影やアナウンス体験、橋での徐行運転など、特別なプログラムが盛りだくさん。制服、アナウンス、
景色、音、スピード――普段気づかなかったことに触れ、子どもたちの笑顔が広がりました。静岡駅到着後は班別フィールドワーク、
さらに新幹線の見学も。目の前を駆け抜ける新幹線に大興奮し、発車前の大きな汽笛に大喜びでした。
安心・安全を支えた工夫
今回の貸切運行を支えたのは、社員一人ひとりの細やかな工夫です。貸切ならではの運行配慮として、乗降時の安全確保を徹底し、
停車時間を通常より長く設定しました。さらに、制服の準備やアナウンス体験、新幹線見学など、各部門との綿密な調整により、
子どもたちが安心して楽しめるコンテンツを用意しました。私たち社員自身も、子どもたちの目線でホームや車内を見直すことで、
日常業務では気づきにくい安全上のポイントや、鉄道をもっと身近に感じてもらうための工夫を学ぶ貴重な機会となりました。
心に残る交流と、これから
帰りの車内では、初めの緊張も解け、社員と子どもたちが一緒にかくれんぼをして交流を深めました。後日届いた感想文や絵には、
「普段は触れられない車体に触れられた」「制服を着られて嬉しかった」「アナウンス体験で分かりやすく伝える難しさが分かった」
「トイレが広くて安心した」など、たくさんの学びが詰まっていました。今回の取り組みを通じて、
子どもたちと鉄道との距離がぐっと縮まったことを実感しています。今後も地域や学校と連携し、鉄道を学びの場として活用しながら、
安全・安心・楽しい鉄道の魅力を広げていきます。