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街中の迷宮を案内する、筋骨めぐり

岡戸 孝明さん 金山町商工会 街歩き観光ガイド

下呂には、旅行者が気づかない観光スポットがまだまだある。その思いで観光ガイドとなった、岡戸さん。名所だけではなく、ふつうの暮らしの一部ともいえるスポットも紹介しています。

  • Q.
    幼いころから、地元で暮らしているのですか?
    A.
    豊橋市の百貨店で32年間勤務していましたが52歳で早期退職し、山里で釣り(あまご)や野菜づくりをしながらゆったりとした生活がしたいと思い、下呂にやってきました。会社員生活では地元の人との交流はありませんでしたが、ここでのんびりとした生活を送っているうちに交流が増え、まちづくりに参加することになりました。
    そんな中、平成24年にJR飛騨金山駅が無人化となることが決まり、切符だけは下呂市の協力を得て販売することはできましたが、これを維持するためには駅の利用を活発化させる必要があり、その解決策として観光に力を入れることになりました。
    金山には“四つの滝”しかない。そう思っている地元の人が多かったのですが、私はもっとおもしろい観光スポットがあると考えていたので、これをいいチャンスだと捉え、筋骨めぐり、金山巨石群、四つの滝、八坂湖畔桜、王龍寺紅葉などを強くアピールすることにしました。

  • Q. 
    岡戸さんのお気に入りはなんでしょうか?
    A.
    金山には、とてもおもしろい道があります。「筋骨」と呼ばれる生活道路です。ここは16世紀後半より宿場町として栄えた場所ですが、尾張、天領、郡上、苗木藩の国境の町なので複雑な道路をつくって敵が攻めてきても守りやすくしてあります。しかし表道は荷物が通ると危険なので、裏道をつくって生活道路として使っていました。表道を曲がった道の裏道はさらに曲がっているので、人間の骨についた筋肉や筋に例えて「筋骨」というように。これらの道を歩くと迷子になります。裏に入ると昭和、表に出ると令和と、タイムスリップするようでスリル満点です。

  • Q.
    「筋骨」を考えたきっかけは?
    A.
    平成16年に商工会が、町の駅“よってこ家“という空き店舗を利用した情報発信基地をつくりました。
    ここで私はアルバイトとして色んなイベントを行なったり、管理人として活動していましたが、あるとき“四つの滝”に歩いて行くお客さまから「この町には何か見る所はないのか」と聞かれ、答えをだしたのが筋骨なのです。
    この街では表通りを歩く人は見かけないのに、家の隙間から人が出てくるのがとても不思議でした。地元の人にこの奥に何があるのか聞くと、これは「筋骨」という生活道路でそれを利用するとどこにでも行ける近道なのだと聞きました。

  • Q.
    どこに惹かれますか?
    A.
    地元の人でも歩いたことのない道へ進んでいくと、自分がどこにいるのか分からなくなる。そんな迷路のようになっているのが不思議で、なんとも惹かれます。

  • Q.
    どのくらいの頻度で歩きますか?
    A.
    私はガイドをしているので1年に250~330回ほど回っていますが、この町ではどこに行くにしても「筋骨」を使い、「筋骨」の組み合わせで近道を探します。

  • Q.どんな状況のときに、楽しいと感じますか?

    A.
    お客さまが、「うわ~!もうどこにいるか分からなくなってしまった」といっているときが楽しいですね。「筋骨」めぐりは、ガイドがお客さまを迷子にして楽しむツアーとなっています。

  • Q.
    HC85系のデビューをきっかけに、地元がどう変わればいいと思いますか?
    A.
    HC85系を利用した人がたくさん金山観光に訪れ、街中を歩く人が少しでも多くなることを望んでいます。

    ※2022年11月時の情報です。

PICK UP

飛騨街道金山宿 筋骨めぐり

筋骨 “きんこつ” とは、飛騨地方の呼び名で細い路地が迷路のようにからみ合っている公道のこと。
まるで映画のセットのような昭和ののどかな風景を探検すればまるでタイムスリップしたような気分に。

※撮影時のみマスクを外しています