#17

村民の思いが宿る、世界遺産の公園

和田 正人さん 国指定重要文化財和田家 館長

和田家は、世界遺産地区内で最大級の大きさを誇る合掌造り。そんな貴重な建物に今も住み、日々の生活を送っているのが和田さんです。1階と2階は、一般の人でも見学できます。

  • Q.
    荻町とは、どんな地域ですか?
    A.
    荻町集落には約114棟の合掌家屋が点在しており、その風景は荻町展望台から一望できます。なぜ、これだけ多くの合掌家屋が残っているかご存知ですか?
    それは、早い時期から、住民が保存活動をスタートさせて、合掌家屋と農山村の景観を守る努力をしてきたから。1971年に住民組織「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」を設立し、それが基盤となって合掌家屋が建ち並ぶ美しい景観が残り、世界遺産の登録へとつながったのです。

  • Q.
    和田さんのお気に入りはなんでしょうか?
    A.
    集落の中央にある「荻町公園」です。今でこそ観光客や住民が集う憩いの公園となりましたが、その前は「荻町駐車場」でした。
    1995年に世界遺産登録を受け、多くのお客さまが訪れてくださるようになると、「世界遺産の中を観光車両が行き来するのはいかがなものか」とご指摘を受けるようになりました。
    そこで交通問題の解決にむけてさまざまな取り組みを進めるなか、2009年よりバスなどの大型車両の交通規制を実施。さらに2011年には「荻町駐車場」を閉鎖し、一般観光車両侵入の自主規制にむけた取り組みが進みました。
    「荻町公園」は、住民が観光車両の通らない美しい景観をめざすことを決意したシンボル的な公園でもあるのです。

  • Q.
    「荻町公園」をシンボル化するために行ったことは?
    A.
    「荻町公園」が荻町駐車場跡地であった前は、水田でした。そこで、景観保全のシンボル的な公園とするため、元々あった水田をモチーフに公園をデザインしました。駐車場のアスファルトについては芝生で畦を再現し、中央には植栽や案山子、利用者が安らげるベンチを置きました。

  • Q.
    この公園のどこに惹かれますか?
    A.
    「荻町公園」の中央にある看板です。
    看板には、地域住民が主体となって保存活動が進められてきたこと、重伝建地区から世界遺産登録にいたった経緯、さらには交通対策に取り組んできた意義と「荻町公園」の存在などについて記されています。

  • Q.
    白川郷のひみつがわかる場所があるとか?
    A.
    それは、園内にある合掌造りの休憩所「ゆるり」ですね。お客さまにくつろいでいただくとともに、白川郷について知っていただきたい情報が掲示されています。訪れた際は、ぜひ一度読んでみてください。

  • Q.
    たとえば、どんなひみつを知ることができるのですか?
    A.
    では、ひとつだけ。「ゆるり」では「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」の取り組みが紹介されています。毎月開催される定例会で、景観保全について熱い議論がかわされるのです。その様子をとらえた写真も見ることができますよ。合掌家屋や周辺の美しい景観を残そうとする住民の努力があって、今の白川郷があるのです。

  • Q.
    HC85系のデビューをきっかけに、どんな取り組みをしていきたいですか?
    A.
    HC85系のデビューやコロナ禍を契機に、ここを訪れるお客さまの要望や旅行のカタチも変わってくると思います。そんな予想をふまえ、世界遺産の観光地としての魅力アップを図りたいですね。またお客さまに対しては、今以上におもてなしの心を意識しながら合掌集落を守りつないできた歴史や文化をお伝えできるよう努力したいと感じています。

    ※2022年11月時の情報です。

PICK UP

国指定重要文化財 和田家

世界遺産地区内で最大級クラスの合掌造りであり、唯一国の重要文化財に指定されています。
現在も住居として生活しながら、1階と2階部分を公開しています。(生活スペース非公開)2階から眺める景色も、お楽しみください。

※撮影時のみマスクを外しています